古いカセットテープに録音した音源をパソコンに取り込もうと久しぶりにAKAIのカセットデッキGX-73を立ち上げたら,テープがロードされない。これまで,ベルトのクリーニング程度のメンテナンスでなんとかここまで来たが,ついに,ダメになってしまったようだ。さすがに,1987年に購入して30年以上経っているのだから仕方ないか。仕方ないと,比較的新しいCD+MD付ラジカセで再生しようと思ったら,なんと,こちらも壊れている。そうなると,修理欲がわいてくる。

AKAIやA&Dのテープデッキは,今でも根強い人気があって,修理の情報はネットを調べると結構出てくる。故障原因の主なものはゴム部品の劣化と,古いグリスの固着である。修理業者に頼むのが手っ取り早いが,もと電気少年ということで,徹底的にオーバーホールしてみることにした。

まず,メカ部分の取り出し。メカは以下の写真の4箇所(上2箇所と下2箇所)のビスで本体に固定されている。

ケーブルは,幸いすべてコネクターになっているので,慎重に引き抜く。ツメで引っかかっているので,精密ドライバーをすき間に入れて,ツメの引っかかりをはずしてあげると,比較的簡単に抜ける。まず,モータ駆動系の基板にあるコネクタを外す。以下の写真の赤丸部分がそうだ。次に,緑で示したフラットケーブルを外し(プラスチック部分を上に持ち上げると簡単に抜ける),基板上のビス2箇所を外すと,下の基板にアクセスできる。

下の基板はアナログ回路のようだ。磁気ヘッドからのケーブルが接続されている。以下の写真の赤丸部分を外す。

ケーブルを束ねている結束バンドを外すと,メカ部分が手前に引き抜けるはずだ。そうして出てきたのが以下の写真。後ろ部分を撮影している。

キャプスタンベルトとメカ駆動ベルトが見える。ネットで調べたところ,いろいろな情報があったが,どうも,キャプスタンベルトは5mm幅で,直径73mm,メカ駆動ベルトは,太さが1.6mmで直径が42mmとのこと。実測しても妥当なところだった。キャプスタンベルトはまだ使えそうだ。一方,メカ駆動ベルトは空転する。Amazonでサイズが近いものを探し,1.5mm,直径40mmのベルトを注文してみた。

次に,メカのフロント側。赤で囲ったアイドラーのゴムも劣化している。これが劣化していると,早送り,巻き戻し,再生時の巻き取りがうまくいかない。また,左側のピンチローラの軸が,グリスの固着でほとんど動かなくなっていたので,分解清掃した。ヘッドマウンタについても,分解して古いグリスを落とした。なお,上下にスムーズに動作するように,ベアリングのボールが使われているので,無くさないように注意が必要だ。

アイドラーの復活方法の定番は表面をヤスリで擦ることなのだが,せっかくなので新しいものに交換することにした。ノギスで実測すると,外径が16.5mm,内径が11.5mm,幅が2.44mmだった。これに近いものを探して,以下を発注した。幅が若干太いのが気になるが,ゴムなのでなんとかなることを願いたい。(後日談:現物を合わせたら若干厚くてはまらなかったため,yahooショップのTECHSPACEより,内径12mm,厚さ2mm,幅2mmのアイドラー用ゴムリングを買い直すはめに・・・)

この際だから,ピンチローラも交換することにした。サイズを測ると,左側のピンチローラは,直径が11mm,幅7.9mm,軸径2mmだった。そこで,これに近い以下のものを発注した。

右側のピンチローラは少し大きく,直径が13mmだった。幅は同じく7.9mm,軸径2mmだった。そこで,以下のものを発注した。

さて,この続きは部品が届いてから。部品代で2000円ちょっとだった。無事,部品が合うかどうかは現物合わせしてみないとわからない。仮に,正常動作しなくても,元が取れるほど楽しんだが,でもせっかくなら,復活して欲しい。

なお,本記事を参考に,ご自身でカセットデッキの修理を行った結果,損害等を被っても,筆者はいかなる補償もできませんので,自己責任でお願いします。

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